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四十肩と薬物療法

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四十肩を発症すれば…肩が動かせないどころか、肩に激痛が走り安静にすることもできない。そうした非常に辛い四十肩の症状に対して、「取りあえず肩の痛みを抑える」治療方法として、薬物療法「内服液」「外用薬」「注射」が挙げられます。ここでは、それぞれ3つの視点から説明したいと思います。

「内服液」…
・アセメタシン=炎症による痛みの主成分であるプロスタグランジンの動きを鈍くすることで、鎮痛・解熱効果をもたらします。また、アセメタシンは副作用を伴わない内服液でもあります。
・アルミノプロフェン=アルミノプロフェンもアセメタシン同様、プロスタグランジンの動きを抑制する働きがあります。確かにアルミノプロフェンは四十肩の痛み=炎症を抑えることはできますが、あくまでも一過性の痛み緩和であり、根本的治療にはなり得ません。
・アンピロキシカム=アンピロキシカムもアセメタシン同様、プロスタグランジンの動きを抑制し炎症による痛みを緩和させます。
・アンフェナクナトリウム=アンフェナクナトリウムは最も薬剤即効性のある内服液です。強力である故、すぐに痛みを和らげることはできますが、あくまでも根本的治療にはなりません。これも一過性の痛み緩和剤です。
・インドメタシンファルネシル=インドメタシンファルネシルは痛みを抑える内服液でなく、肩関節の炎症を抑える・鎮痛作用を抑える薬です(プロスタグランジンの生合成を抑制)。

「外用薬」…
・一般的に外用薬として、貼布剤のパップ剤やプラスター剤が使われています(プラスター剤は薄いので、患者様には好まれているようです)。また、これらの外用薬は1日1~2回患部に貼ることで、効き目が十分持ちます。

「注射」…
・ブロック注射=一番即効性があるのは、言うまでもありません。何故ならブロック注射は、神経の動きを抑えてしまうからです…しかし、それは神経の活動を鈍くさせることを意味します。仮にブロック注射を長期間投与すれば、感覚器官が麻痺し始めて…自律神経失調症を発症する可能性も含まれています。できることならば短期間の投与、もしくは注射をしないことをお勧めします。

このように薬物療法を使用すれば、劇的に痛みを鎮静化させることはできます。しかし、長期間続けたことによる副作用を考えれば…。しっかり四十肩を完治させようと思っていのであれば、整体院・カイロプラクティック・鍼灸治療・整骨院といった治療院で、薬物療法を用いない施術をすることだと思います。

四十肩とツボ/マッサージ

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四十肩は、40歳代の中高年に見られる肩の痛みです。正式名称は肩関節周囲炎と言います。そして四十肩に対する様々なアプローチとして、ツボ/マッサージも効果的な治療方法の1つとして挙げられています。

私たちの身体には、無数のツボが存在します。そしてツボを刺激することが、痛みの軽減に繋がっているのです。では、四十肩に効くツボは身体のどこにあるのでしょうか。四十肩の効くツボはある部分に集中しています…その部分とは、足の裏と手のひらです。

足の裏の場合…足の薬指と小指の股の間から、まっすぐ降りた膨らんだ部分に刺激を与えてください。そして、痛む肩と同じ側の足指を刺激してください(四十肩を左肩に発症した場合、左の足指)。
手のひらの場合…人差し指の付け根から小指の方に向かって、刺激を与えてください。
ここでツボを押す心得を紹介します。ツボを押す時、力を加減しないで押す・長時間、同じツボを押すことを絶対しないでください。それを続けると、治り掛けていた炎症を再び悪化させ、筋肉を傷つけてしまう可能性があるからです。

またツボを押す基本として、「押す」「揉む」「叩く」といった3つの動作があります。「押す」は、手の指の腹(肉)を使います。「揉む」は、揉みほぐす感覚です(どちらかと言えば、手のひら全体を使います)。「叩く」は軽くコブシを握り、トントントンと叩く感覚です。この3つの動作は、患部に軽い刺激を与える程度にしてください。そして、数分間行うようにしてください。

そして、マッサージです。四十肩の患部をマッサージする場合、すぐに痛む患部をマッサージしないでください。基本は、遠い部位⇒近い部位です。つまり、「手」⇒「腕」⇒「背中」⇒「胸」、そして肩へ…マッサージもツボ押しと同じように、やり過ぎてはいけません。患部の痛みが酷い状態であれば、「優しく擦る」感覚で十分だと思います。
またツボの場合、自分自身で押さえることも出来ますが、マッサージは第三者にしてもらわなければなりません。肩をマッサージしてもらう要領として、「少し力を入れて擦る」もしくは「親指・人差し指・中指を使って肩の筋肉をつまむように」…
四十肩へのアプローチとして、ツボ/マッサージは、ある程度誰にでもできる基本的治療行為だと言えます。四十肩を発症して、どうしても痛みが酷く身動きが取れなければ…治療院へ駆け込む前に、まず自分で出来うるツボ/マッサージを行い、痛みの緩和対策を行ってみてください。

四十肩と鍼灸院

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四十肩の急性期=四十肩を発症し、激痛を生じる場合もあります。急性期はとにかく腕を動かさない…絶対安静が、回復の条件だと言われています。しかし急性期~慢性期~回復期…一貫した治療の流れで、四十肩を完治させる療法があります。それが鍼灸治療です。

鍼灸治療のポイントとして、急性期の治療が挙げられます。確かに、急性期は腕を動かすことはできません。しかし鍼灸治療では、肩関節周辺の炎症を取り除くツボに鍼を刺します。これによって炎症期間が軽減…2~3週間掛かると言われている急性期(最も辛く痛い時期)の期間を短縮、慢性期に繋げていきます。慢性期~回復期になると、「腕を動かさない」⇒「腕が動かない」状況に陥ります。つまり動かさなかった腕の筋肉が、低下していることを意味します(硬くなる)。鍼灸治療では硬くなってしまった肩関節周辺の筋肉群のツボに鍼を刺すことで、筋肉を緩め症状を改善へ導くことができるのです。そして四十肩に対する鍼灸治療の取り組み方として、もぐさも効果的治療の1つとしてあります。

もぐさの温熱治療と薬効成分を利用することで、患部(肩関節周辺の筋肉群)に浸透…そして血流を促進させることで、腕の凝り・筋肉の炎症を取り除くことができるわけです。
また四十肩とよく似た症状で、回旋腱板断裂があります。回旋腱板断裂も腕の痛みは当然あるのですが、四十肩と大きな違いがあります。四十肩の場合、無理をしたら腕を動かすことができます(腕を上げる)。しかし回旋腱板断裂の場合、自身の力で腕を動かすことができないのです。そして第三者に腕を動かしてもらっても、すぐダラリと下がってしまいます。回旋腱板断裂は手術の必要がないと判断された場合、鍼灸治療を行っています(断裂でなければ、効果的)。
鍼灸治療はもともと五臓六腑を元気にすることで、身体全体に元気を与える治療です(=東洋医学)。つまり五臓六腑を元気にする⇒四十肩を治し易い環境を整えるというわけです。その経路(治療のツボ)として、肺・心・心包・大腸・三焦・小腸で痛む各部位に鍼を刺す⇒そして、疲労回復・四十肩治癒させるのです。

鍼灸治療をされたことない方にとって、どうしても「痛みを伴うのでは?」と思う方もいるかもしれません。私も経験ありますが、痛み自体全く感じることはありません。それどころか鍼灸治療をするに従って、痛みが軽減していくのが実感できます。
東洋医学を基本となす鍼灸治療…一度経験すれば、私が言ったことが理解できるはずです。

四十肩と整体院/カイロプラクティック

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四十肩は40歳代中高年層に発症する肩こりで、あくまでも俗称に過ぎません。そして、私たちは四十肩=肩関節炎症の部分だけを考えてしまう傾向にあります。実際は肩関節周辺組織全体に加齢(老化現象)が加わることで炎症が起こり、「腕が上げられなくなる」といった症状を発症してしまうのです。

整体院/カイロプラクティックでは、肩関節周辺組織の緩和という部分から効果的な施術を行っています。整体院/カイロプラクティックの治療の考え方として…

「腕が真上に上げることができない」
…これは脇の筋肉群(前鋸筋・広背筋)が緊張していることが原因です(凝り)。
「腕が痛くて後ろに回すことができない」…この原因として胸の筋肉群(大胸筋・小胸筋)・腕の内側の筋肉群(三角筋・上腕筋・上腕二頭筋)が凝っている=つまり縮んだ筋肉状態のままで、伸びていないことが挙げられます。これらの筋肉群の凝りに加え、上部背骨のズレ・首の骨/肩関節/肩甲骨等の歪み⇒つまり、肩関節を中心に矯正する治療法なのです。また四十肩が酷くなった場合(四十肩の石灰化=フローズン・ショルダー)、整形外科では「即、手術」という場合もあるようです。しかし、整体院/カイロプラクティックでは手術することなく、身体を調整することでフローズン・ショルダーを治療します。では、整体院/カイロプラクティックにおける身体の調整とは、どのような治療法なのでしょうか。

整体院/カイロプラクティックではフローズン・ショルダーを発症する原因は、血行障害だと考えています。腕が痛くて動かせない⇒回復期に入り腕の痛みは完治⇒しかし、腕を動かすために行うストレッチ等々を怠ってしまう(腕を動かさない)⇒血行障害を引き起こす…
つまり、こういうことです。私たちの身体は筋肉を動かすことで、炭酸ガスを発生させています。そして、血液によって炭酸ガスは肺に送られ、酸素と交換されます。もし四十肩の回復期に腕を動かすことをしなければ…肩関節周辺に炭酸ガスが蓄積する=つまり、老廃物が溜まり続けるわけです。

整体院/カイロプラクティックでは、血流を活発化させることで肩関節周辺に沈着した石灰を溶かして、四十肩を完治することができるのです。また、整形外科では非ステロイド性消炎鎮痛剤・神経にブロック注射等々をすることで、四十肩の痛みを抑制させることがあります。しかし、これらはあくまでも痛みを抑えるだけであって、痛みを完治させるものではないということです。そして長期に及ぶ薬物・注射等々の服用は、なるべく避けられるべきだと思います。何故なら副作用として、胃痛・肝臓/腎臓障害を引き起こしてしまう可能性を含んでいるからです。
整体院/カイロプラクティックは、施術者の手技によって四十肩を完治させます。多少時間は掛かるかもしれません…しかし副作用の心配もせず、自分自身の身体全体のバランスも調整されながら四十肩も完治させることを考えれば…四十肩で悩まされているみなさん・どの治療院に通おうか迷っているみなさん…是非、整体院/カイロプラクティックで治療を行ってみてください。

肩こりを筋肉で予防

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肩こりを代表する症状として、四十肩があります。そして肩こりにも様々な症状があるように、様々な原因もあります。しかし肩こりの根本的な原因を突き止めていくと、ある1つのことにたどり着きます。それは…肩関節周辺の筋肉⇒限られた筋肉の使用・限られた筋肉に対する過剰負担です。つまり、肩関節周辺の筋肉をしっかり鍛えてさえいれば、四十肩を含む肩こりも十分予防することが可能なのです。肩関節周辺の筋肉=ローテーターカフと呼びます。ローテーターカフは次の筋肉で形成されています=棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋。また三角筋肩峰(けんぽう)・背面筋はローテーターカフではありませんが、四十肩にとって重要な役割を持っている筋肉です。棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋は、それぞれ板状になっていて上腕部に付着している筋肉です。三角筋肩峰(けんぽう)は、肩関節の部分に覆い被さっている筋肉です。背面筋は、人間の背中の筋肉です。

では、それぞれの筋肉がどのような働きを担っているのか検証したいと思います。

○棘上筋…肩甲骨と鎖骨の間を通っている筋肉です。棘上筋は非常に小さい筋肉で、その役割は肩を引き上げる…つまり、大変重要な部分を担っているわけです。ローテーターカフの中で、最も過酷な動きを強いられる筋肉だと言えます(過酷が故に、脱臼・亜脱臼になりやすい筋肉)。
○棘下筋…肩甲骨の背中側を走っている筋肉=肩関節の後ろの部分を司る筋肉です。棘下筋も棘上筋同様、非常に疲労が溜まりやすい筋肉と言えます。
○肩甲下筋…肩甲骨の表面部分(胸側)にある筋肉です。
○小円筋…背中側にある大円筋の横を通っている筋肉です。
○三角筋肩峰…肩を触った時、最初に触れる部分が三角筋肩峰です。そして、四十肩を含む肩こりの主原因となる筋肉でもあります。ローテーターカフはインナーマッスル群と呼ばれていますが、三角筋肩峰はさしずめアウターマッスルと呼んでしかるべき筋肉だと言えます。
○背面筋…背中の軸となる筋肉、それが背面筋です。背面筋が緊張する⇒三角筋肩峰に緊張が伝わり肩こりを発症…背面筋の鍛え方が、肩こりの鍵を握っていると言えます。

このように、ローテーターカフ+三角筋肩峰+背面筋を中心にした筋肉群をしっかり鍛える・柔軟性を持たせることが、肩こりを予防する最大の原動力になっているのです。
みなさんも是非、肩関節周辺の筋肉群を意識したトレーニングを行ってください。継続し続けることで、みなさんの頭の中に「肩こりという言葉」が消えてしまっています。

四十肩と様々な予防方法

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中高年層になれば、誰にでも発症しうる四十肩。
四十肩の発症は、様々な要因が考えられます。そして、何度でも再発する可能性もあります。そのような激痛を生じる四十肩に対して、私たちはいろいろな予防対策を行うべきだと思います。何故なら予防対策を行うことで、四十肩の発症を未然に防ぐことができるからです。

まず四十肩の予防対策として、毎日欠かさず行う適度な運動が挙げられます。1年を通じて、意識的に肩の関節を動かすことを心掛けてください。ただし、このサイトを読まれて「さぁ、肩の関節を動かすぞ!」と思った方も…仮にそれまでほとんど肩の関節を動かすことがなかった方にとって、一気に運動をすることは逆効果になります(肩を痛めてしまうことに…)。まずは無理をせず、出来うる範囲で肩の関節を動かすようにしてください(夏場は暑いから、肩の関節も動かす必要はないと変な勘違いをしないでください)。例えば朝晩放送されるテレビやラジオ体操等々は、非常に効果的です。ここで簡単に出来る肩の関節運動をご紹介致します。片方の腕で、もう一方の腕の付け根の部分の服を持って下さい。そして服を持った腕をそのまま円を描くように、ゆっくり大きく回してください。これだけでも十分、肩関節の運動になります。
そして、もう1つ四十肩の予防対策として、肩を冷やさないことが挙げられます。一瞬、冬場の方が肩を冷やすと考えられるかもしれません。しかし断然、夏場の方が肩を冷やしやすいのです。何故なら、夏場は薄着になってしまう…それと、室内の冷房の効き過ぎがあるからです。
私たちは肩の関節を冷やさないためにも、夏場に様々な工夫を考えなければなりません。

○夜就寝する時、冷房をつけっぱなしにしないでください。出来ればドライにして、タイマーを掛けてください。
○クーラーから放出される冷風を、直接肩に当てないような工夫を施してください(カーディガンを掛ける・ストールを羽織る等々)。
○絶対、暑いからといって肩を露出することをしないでください。ランニングを着るならティーシャツを…肩を隠すこと=冷えに対する予防対策になるのです。

毎日の運動=運動不足も含め肩の関節を柔軟に保つ、夏場の冷え対策=肩が冷える要因を勘違いしない…自分自身に対して起こりうる四十肩の前兆を見逃さないためにも、私たちは身体に良い日常生活を心掛ける必要があります(仮に見逃してしまったら…肩の関節を動かす・温めることをして、四十肩の進行を抑えることができます)。

四十肩のリハビリテーション:アイロン体操と滑車体操

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「四十肩:3つの病期」で述べましたが、四十肩には急性期・慢性期・回復期…発症から回復までの時期が分けられています。そして肩を動かす=四十肩のリハビリテーションを行う時期を、きちんと把握しなければなりません。何故なら、間違った時期にリハビリテーションをしてしまうと、余計に激痛を伴う結果になってしまうからです。

急性期=四十肩発症直後で、激痛を伴う・慢性期=四十肩治り始めで、動かせば痛みが走る…この時期にリハビリテーションをするべきではありません。仮に慢性期に動かし続けると、急性期に逆戻り⇒再び激痛を伴ってしまうからです。

そしてリハビリテーションを積極的に行う時期として…それは回復期です。肩を動かしても痛みを感じなければ、ドンドン肩を動かすことで可動域を広げるべきです。もし回復期に肩を動かすことをしなければ、肩の可動域が狭まり…最悪、肩全体が動かなくなることもあります。
また回復期のリハビリテーションとして、アイロン体操と滑車体操が有効治療だと言われています。

アイロン体操…机といった腰の高さと同じくらいの台を用意してください。そして、痛みのない方の腕を台に乗せて、身体を90度に曲げてください。次に、四十肩を発症した腕でアイロンを持ちます(腕はダラリと伸ばしてください)。あとは前後/左右・小さく⇒次第に大きく振り子運動を行ってください。1日に2回、時間は1回5分程度。アイロン体操は遠心力を利用するので、可動域が狭かった腕も自然に広がっていく効果があります。

滑車体操(治療院で行う体操)…まず、天井に備え付けられた滑車に綱を通します。健康な腕で四十肩を発症した方の腕を引き上げることで、可動域を広げていく体操です。
他のリハビリテーションとして、コッドマン体操・シャクトリムシ体操などがあります。
(コッドマン体操=アイロン体操とよく似ています。悪い方の肩の手で軽いおもりを持って、前後左右に振り子運動をする体操です。シャクトリムシ体操=壁の前に立って、悪い方の腕をシャクトリムシのように横から上へ…段々上げていく体操です)。

四十肩に対するリハビリテーションは、きちんと時期を見極め、適切な指示を基にして行わなければなりません。そして、これらのリハビリテーションを実践することで、四十肩がほとんど完治するはずです。また重要なこととして、回復してからも毎日リハビリテーションをし続けてください。二度と四十肩を発症しないためにも…

肩への負担、そして様々な病気の発症へ…

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四十肩を含め、何故私たち人間に肩こりが起こりやすいのでしょうか。
私たち人間は、世界中で唯一、二足歩行する哺乳類動物です。そして他の動物との最も大きな違い、それは大脳の発達です。全体重に対する脳の重さの割合も、ずば抜けて高いのです。その頭を支えているのが、頚椎です(首上部の骨)。また、人間の日常生活を考えてみると「下を向く行為」が、天を見上げる行為よりはるかに多い動作を示しています。つまり二足歩行をする私たち人間とって、首(頚椎)・肩(肩関節群)は身体の中で最も筋肉の緊張・負担を負っている部分だということがわかります(普段、何気なく立っている状態でさえ、両肩は重力に反してぶら下がっています=筋肉の緊張状態)。それ故、二足歩行の私たち人間は、肩こりが発症しやすいのだと思います。

そして、私たちはそれを「単なる肩こり」と安易に考えてはいけません。何故なら肩こりの原因が、別の病魔の隠れ蓑の場合があるからです。

例えば…変形性頚椎炎…
肩が凝る・首を動かすと痛みを生じる、このような症状は頚椎の異常によって発症します。そして頚椎の異常・変形(関節部分にある軟骨の変形)は肩こり以外に、椎間板ヘルニア(腰痛)なども引き起こします[椎間板ヘルニアは、頚椎骨軟骨症(総称)とも呼ばれています]。

例えば…内蔵疾患…
胃・肺・肝臓に疾病がある場合、まず肩こりの症状を訴える患者が多いのです。その他にも、虫歯や歯槽膿漏・視力の低下・鼻や耳の疾病等々がある場合、最初に肩こりの症状を発症すると言います。つまり、これらの病状を治療すれば、肩こりも治ることを意味しています。
例えば…後縦靭帯骨化現象(こうじゅうじんたいこっかげんしょう)…
あまり聞き慣れない病名だと思います。しかし日本人はよく発症する病気であり、重症化すると肩や腕といった上半身だけでなく、下半身麻痺を引き起こす可能性もある非常に怖い病気です。頚椎の後ろには、骨と骨を繋ぎ合わせている靭帯があります。この靭帯が徐々に厚くなり、しまいに骨となってしまう…この骨が脊髄に突き刺さる…つまり神経を圧迫し、様々な障害を引き起こすのです。その始めの症状として、肩こりを発症させるわけです。

このように私たち人間が考えている以上に、肩への負担は大きいわけです。肩こりになってしまうと「日にち薬だから、自然にしていれば時期に治る」と思ってはいけません。なかなか治らないのであれば、しっかり治療院で診察を受けるべきだと思います。…肩こりが治れば、万病も治る…

四十肩によく似た病状~腱板炎~

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四十肩(五十肩)とよく混同される症状として、腱板症があります。
この腱板症という病名、一般の人たちにとって聞き慣れない言葉だと思います。何故なら腱板症という病態が注目を集め始めたのも、ここ数十年だからです(整形外科医の中には、四十肩(五十肩)と同じ症状と解釈されている医師も多いようです)。

四十肩と腱板症の最もわかりやすい違い…それは、拘縮(こうしゅく)の有無です[拘縮=腕の可動域(動く範囲)が制限される]。四十肩は肩関節周辺の筋肉の炎症等々を発症し、腕の拘縮が起こります。つまり四十肩特有の症状…肩が痛くて動かない・肩を真上に上げることができない…。しかし、腱板症では腕の拘縮は見られないのです。

では、腱板症はどのような症状を発症するのでしょうか。腱板症…腱板(ローテーターカフ)が炎症を起こした症状を言います。腱板は肩の筋肉の総称=棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つの腱を指します。その腱板が炎症・断裂を起こす…四十肩は四十肩になる要因は明確にわかっていないのですが、腱板症は筋肉の損傷(怪我)と要因がはっきりわかっています。また、四十肩は肩を他人に動かしてもらっても、痛みは同じように起こります。しかし、腱板症は肩関節自体に炎症を起こしているわけではないため、肩の力を抜いた状態で他人に動かしてもらっても、痛みは全く伴わないのです。もちろん腱板症は肩の筋肉の損傷ですから、急性期では可動域を意識する必要もあります。

腱板症は腱板のすり減らしが原因で(肩関節の炎症=四十肩特有の痛み)、まったく同じような症状を起こしてしまいます。そして、腱板症を発症する年齢=40歳代半ばに、最も多く見られます。それ故、腱板症と四十肩が間違われやすいのも仕方ないのかもしれません。
腱板症の治療方法として…基本的治療は、患部の固定・アイシングです。仮に腱板に激しい負荷がかかった場合、腱板が完全断裂していることもあります。きちんと専門医で診察を受ける必要があります。

腱板症の慢性期(治り始め)、及び機能回復治療法には様々な治療が選択肢としてあります。その中で、鍼灸治療も選択肢の1つになります。腱板症に対する鍼灸治療=痛みの程度によって違いますが、基本的には筋肉に直接、鍼を刺します。そうすることで、筋肉の回復を助けます。また鍼による電気療法を行うことで、鎮痛効果を促すことも行われています。
腱板症の場合、スポーツをしていて症状を発症することが多いと言えます。そういう観点でいえば、四十肩と明らかに異なっているわけです(四十肩はある日、突然)。
みなさんも腱板症という病名を理解して、脳裏の一部に留めていただけたらと思います。

四十肩によく似た病状~頚椎症~

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四十肩の症状として、「肩がだるくて上げられない」「肩が痛くて、全く動かすこともできない」等々が言われます。そのような症状に加え、「頭痛」「イライラ感」「耳鳴りを起こし、首が上がらない」「鎖骨周辺に痛みを感じる」「息苦しく、胸を張ることができない」等々の症状が見受けられる場合、四十肩以外の病状を確認する必要もあります。
四十肩によく似た症状を引き起こす病気、それが頚椎症と呼ばれるものです。頚椎は椎骨の一部で、頭を支えるための骨です(首の部分)。そして頚椎症は、頚椎の老化現象から生じる症状なのです(退行性変化)。老化現象によって、引き起こされる症状=頚椎椎間板の劣化による変性・頚椎の一部が変性して、トゲのように鋭い形状に変性してしまう骨棘形成…これらの原因によって、上記で述べた症状(肩こり以外に頭痛・首が回らない等々)が発症してしまうのです(四十肩も肩関節周辺の老化現象)。
もちろん、頚椎症の原因は老化現象だけではありません。猫背といった姿勢の悪さによる頚椎の歪み・姿勢悪化を伴うことで血行不良になり、頚椎や椎間板の異常代謝・スポーツや交通事故による頚椎損傷(外傷後変性症)・先天的頚椎異常…

では、頚椎症に対してどのような治療方法が施されているのでしょうか。
まず言えること…それは必ず専門医で診察を受けることです。何故なら、頚椎症は頚椎の様々な病変を調べなければ、はっきりした原因が掴めないからです。そのような病変を確認したうえで、牽引療法・低周波療法・SSP療法といった物理療法で頚椎症を治療します(SSP療法=刺さない鍼治療とも言われています。SSPという電極をツボに置くことで、低周波治療を行います)。そして、頚椎コルセットで患部を固定する方法・痺れや痛みを緩和させる薬物療法も行われます。また、姿勢のバランスの悪さから発症する頚椎症の場合、整体院・カイロプラクティックといったプロの施術師がいる治療院で、姿勢矯正・バランス調整・歩行矯正を改善することで完治を目指します。

少し余談になりますが、今でも多くの整形外科では、牽引療法を治療の一部として行っている現状があるようですが…多くの治療院から「牽引療法はほとんど効果が見られない」という報告が多数上がっています。年齢・症状から四十肩に間違いないと、自分自身で決めつけることだけはしないでください。それほど頚椎症の症状は、四十肩の症状によく似ているのです。治療院でしっかり診察を受け、病状を確定…それから、しっかり治療に専念するべきです。